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所信表明(令和5年加茂市議会6月定例会)

【はじめに】
 本日、令和5年6月定例会が開催されるにあたり、所信表明の機会をいただき、ありがとうございます。2期目の市政運営について、私の基本的な考え方を述べ、市民の皆さまと市民の代表たる加茂市議会議員の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 皆さまからお寄せいただきました信頼と期待にお応えすべく、決意を新たにするとともに、市民の皆さまが心から幸せを感じることができる「笑顔あふれるまち 加茂」を実現するため、全力を尽くしてまいりますことをここにお誓い申し上げます。
 今から4年前に、私が市長に就任した際に、全てのもとにある想いは「未来への責任」であるとお話しいたしましたが、今もそれは変わっていません。市政を預かる私たちには、今だけではなく、将来の加茂市への責任があります。
 大きく変化してきた4年間でしたが、持続可能な将来に向けて更に前進してまいります。

【1期目の振り返り】
 1期目の4年間では、『市民参加型』、『人づくり』、『連携』を常に心がけ、『未来への責任』を担うことを強く意識してきました。
 市長に就任した令和元年度、当時の加茂市の財政は危機的な状況にあり、災害などの緊急事態に対応できないほどでした。これを立て直すため、「行財政健全化推進計画」を策定し、持続可能な財政運営を目指してきました。行財政健全化とコロナ禍、不安定な国際情勢が重なり大変厳しい状況でしたが、皆さまのご理解とご協力により、乗り越えることができたと思っています。
 また、四半世紀ぶりとなる「加茂市総合計画」を策定し、目指すまちの将来像「笑顔あふれるまち 加茂」を掲げました。審議会や市民アンケート、市民ワークショップなどにより、多くの市民から、この計画策定に参画していただき、『市民参加型』、『人づくり』、『連携』を形にすることができました。
 「行財政健全化推進計画」の最後の年である令和4年度には、財政調整基金は、目標であった基金残高3億円を大幅に上回り、約10億7000万円となりました。
 この4年間で加茂市には多くの変化が起き、未来へ向けて動き出したと実感しています。そして、ご協力くださった全ての皆さまに心から感謝申し上げます。
 市民の皆さまとお話しさせていただくと、加茂市をより良くしたいと思っている方が大勢いらっしゃいます。多くの方が、「加茂市」を「自分たちのまち」であると考えて行動していることに、加茂市にはまだ大いなる伸びしろがあると希望を持つことができます。

【2期目 課題と公約】
 さて、2期目となるこの4年間は加茂市にとって大変重要な4年間になります。加茂市が持続可能なまちであるために、方向性をしっかりと定めて加速していく必要があります。
 令和5年度施政方針では「スクラップ・アンド・ビルド」という表現を使わせていただきました。2期目にあたり、やるべきことを明らかにした上で、今何をやめるか、将来に向けて何をやめていくかも同時に決める『スクラップ・フォー・ビルド』で取り組んでいきます。これが、今期のキーワードです。価値のあるものを残し、作っていく。変化を恐れずチャレンジするまちを目指します。
 加茂市の財政調整基金は10億円を超え順調であるかに思えますが、現状は依然として大変厳しいものです。
 その主な原因は、これまで計画的に更新されてこなかった公共施設の老朽化にあります。加茂市の公共建築施設は約76%が築30年以上経過しており、築40年から50年の公共建築施設が最も多い状況です。現状のままでは、20年後には建替えが必要とされる築後60年を経過する施設の割合が50%を超えることになります。
 公共建築施設の中で特に早急に手を打たなければならない施設は、清掃センター、消防庁舎、母子健康センター、小中学校校舎、公立保育園、公民館を含んだ市民体育館です。
 公共建築施設だけではなく、道路や水道、下水道などのインフラ資産についても同様に老朽化が進んでおり、更新が必要となっています。
 これらの公共施設で市民にとって不要なものはありません。
 しかし、最新の財政シミュレーションによると、現在の財政状況では、既に更新の準備を進めている施設も含めて、これらの中からあきらめなければならない施設が複数出てきます。
 市民にとって必要な施設をあきらめることがないよう、行財政健全化は終了しましたが、今期においても事業、制度、料金、施設管理について抜本的な見直しを行います。

 さらに、財政基盤を強化するため、ふるさと納税寄付額の更なる増額を目指します。事業者の積極的な参加を促す勉強会の実施や、返礼品提供事業者への支援に取り組みます。
 また、市税や使用料の未収金回収にも注力していきます。行財政健全化の期間である令和2年度から令和4年度までの間、市税では約1億3500万円、水道料金では約3700万円、下水道使用料では約1400万円の未収金を回収しました。公平性を確保するためにも、引き続き未収金の回収に努めます。
 市民の賛否が分かれることもあるかもしれませんが、今ここにある課題と将来にわたる課題の解決から目を背けることなく、一歩一歩確実に進めてまいります。

 私は2期目の公約として、四つの目標を掲げました。
 一つ目は、希望ある未来を築くために、「こどもまんなかのまち」を目指します。
 加茂市の未来を担う大切な子どもたちが、健やかに育ち、それぞれの個性を尊重し合い成長できるように、切れ目のない一体的な支援の充実を図ります。
 老朽化が著しい母子健康センターや小中学校、公立保育園の施設について適正な規模での運営ができる仕組みづくり、体制づくりを進めます。誰が、何のために、どう使うのがいいのかをしっかりと考えた上で、新築や複合化を含めた適切な施設整備を図ります。質の高い子育て環境や教育を受けることができる環境の構築に向けて、スピード感をもって「こどもまんなかのまち」を実現します。

 二つ目は、いのちと暮らしを守るために、「安全・安心で、やさしいまち」を目指します。
 加茂市は、子どもから高齢者まで、そして障がいのある方もない方も誰もがつながりを持って、より長く元気に活躍できる包摂的なまちに向けた取り組みを進めてきました。1期目はソフト事業の整備を中心に進めてきましたが、この4年ではその精査・充実に加え、これまで棚上げされてきたハード面の課題に対しても正面から取り組んでいきます。
 加茂市の公共施設や公共空間は先ほど述べた老朽化に加え、全ての人にやさしいユニバーサルデザイン化が十分に図られていないという課題を抱えています。個々の施設毎ではなく、まち全体としてのユニバーサルデザイン化を目指し、まちの公共資産全体としての役割を最適化する上で、建替えや施設の複合化に伴う整備など、より有効で費用対効果の高い機会を適切に見定め計画的に進めていきます。

 また、自助・共助の核となる地域コミュニティの維持・強化にも注力します。加茂市に限らず、区長や民生委員・児童委員、消防団員の皆さまのなり手不足は多くの自治体が直面している課題です。加茂市では約30年にわたり総合防災訓練が行われず、自主防災組織の組織率が13.1%と、概ね85%前後で推移する全国平均を大幅に下回り、地域の安全・安心の基盤が強固とは言えない状況です。加茂市は、市街地域の大半が浸水想定区域に含まれるなど、防災に対する備えが不可欠です。まず、防災という切り口から行政も一体となって地域コミュニティの活性化に取り組み、「自分たちの地域は、地域の助け合いの力で守る」という機運を醸成するための様々な仕組みづくりにも取り組んでいきます。地域コミュニティという土台があるからこそ、私たちは市政運営を行うことができます。このような取組を防災から地域での子育て、福祉といったテーマに広げていくことで、自助・共助・公助が一体となった「安全・安心で、やさしいまち」を実現します。

 三つ目はにぎわいを生み出すため、「チャレンジを応援し、活気あるまち」を目指します。
 この3年にわたるコロナ禍により、加茂市内では少なくない事業者の方が残念ながら廃業という選択肢を選んでいます。地域経済を活性化させ、まちなかに賑わいを取り戻すため、創業支援を充実させるとともに、今事業を営んでいる方々に対し、安心して次の世代に引き継ぐための事業承継支援、新たなチャレンジを応援するための第二創業支援に取り組んでいきます。さらに、これらの取組を働く場の確保につなげて、移住定住を促進するための環境整備に関しても、民間事業者等と連携していきます。
 加えて、市外・県外の事業者との戦略的なパートナーシップに積極的に取り組みます。市の目指す方向性や共に解決したい社会課題を明確に提示し、制約を設けることなくオープンでスピード感のある対応を心がけることで、1期目は全国でも先進的と言えるいくつかの取り組みを始めることができました。これからの4年間は市内事業者の皆さまのビジネス機会創出につなげることをより意識しながら、新たな経済の流れを生み出します。

 また、加茂市内では市民・民間事業者の皆さまを中心としたまちづくりの気運が高まっています。加茂市に住む、関わる全ての人々が主役となって、主体的に活躍できるまちづくりを支援するための仕組みを整えます。ウォーカブルなまちづくりを念頭に、中心市街地とその周辺のまちなかエリアのにぎわいづくりに向け、産学官民が連携して活動するためのエリアプラットフォームや、実現すべき具体的なまちの姿を示す未来ビジョンを構築していきます。また、民間事業者によるまちづくり会社の立ち上げや、様々な事業主体によるまちなかエリア内でのにぎわい創出に向けた取組を支援し、「チャレンジを応援し、活気あるまち」を実現します。

 四つ目は、今と未来を見据えた、「持続可能なまち」を目指します。
 冒頭に述べた公共建築施設の再編については、これまで検討・策定してきた方針や計画等を踏まえつつ、持続可能かつ希望が持てる未来を市民の皆さまに提示するため、令和5年度から6年度にかけて、各施設における利用者の属性情報や類似施設間の併用状況など、客観的なデータにもとづく需給状況を明らかにし、必要性や優先度が高い新規施設の整備も含め、公共施設保有量の適正化に向けた長期にわたるアクションプランを策定します。複合施設や小中学校など、アクションプランの対象に含まれる全ての施設整備を長期財政シミュレーションに紐づけ、各課の個別施設計画に反映させることで、施設再編を確実に実行していきます。

 また、インフラ施設についても、計画的な更新を進める必要があります。
 特に、加茂市の水道事業及び下水道事業については、施設の老朽化などにより収支の均衡が取れていないため、経営状況は大変厳しくなっています。経営悪化の主な要因は、長年にわたった実態に合わない低料金と多額の未収金です。
水道事業については、浄水場及び管渠の老朽化が進んでいます。現在の悪化した経営状況により老朽化した施設の更新ができなければ、水道水を安定して供給できなくなります。
 今も未来も安全でおいしい水を飲むことができるように、段階的に水道料金の改定を行います。水道事業の収支均衡を図り、得られた財源により計画的に施設の更新を進め、持続可能な水道事業の実現を目指します。
下水道事業については、汚水処理するために必要な費用が下水道使用料による収入を上回っており、一般会計からの補填により賄っている状況です。将来に向け持続可能な下水道事業を目指すため、汚水処理の効率化を図り、下水道使用料の改定を行います。
 加茂市のあらゆる課題解決について、この4年間で明確な方針を打ち出し、「持続可能なまち」を実現します。

【結び】
 ここまで、所信表明にもかかわらずかなり厳しいお話をしてまいりました。これが加茂市の現実であり、だからこそ、しっかりと前を向かなければなりません。
 今まであった事業がなくなる、施設がなくなる、これは苦痛が伴うかもしれません。しかし、財政的に強くならなければ、本当に守るべき人を守ることはできません。効率化や収益だけを考えれば切り捨てられてしまう人が必ず生まれます。そこを救う大きな力となれるのが行政であり、人と人とがつながるコミュニティです。加茂市にはまだそのコミュニティが残っています。
 今の加茂市は、東京のような大都市に人口が流出し、人口がどんどん減っている自治体です。では、大きな都市だけが生き残ればいいのでしょうか。決してそうではありません。私は、加茂市が地方の小さな自治体だからこそ存在する意義があると思っています。地方が衰えてしまったら、日本は衰えてしまいます。地域の産業、伝統文化など、それぞれ特色を持った地方の自治体がその特色を際立たせていくことが日本全体の元気につながると信じています。加茂市の中も一色ではありません。各地域でそれぞれの色を持っています。その色をより一層輝かせるため伴走するのが私たちの役目であり、その輝きが加茂市の価値になります。そのために私は地域のすみずみまで分け入り、市民の皆さまと対話していきます。
 まちを変えることは、私ひとりではできません。行政だけでもできません。加茂市に暮らす皆さまの力が必要です。さらには、このまちに関わってくださる方々の力が必要です。一緒に加茂市の今と未来のために行動していきましょう。
 困難な課題を先送りせず、未来への道筋をつけるため、私は覚悟をもって市政運営に取り組んでいくことをここにお約束いたします。
 結びに、市民の皆さま、市議会議員の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。

所信表明 (PDF 396KB)

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