令和8年度_施政方針 (PDF 946KB)
本日、ここに、令和8年度予算案及び関連議案を提出し、ご審議いただくにあたり、市政運営に対する基本方針並びに主要事業についてご説明申し上げ、市民の皆さまと市民の代表たる加茂市議会議員の皆さまのご理解とご支援を賜りたいと存じます。
1 基本方針
私が市長に就任してから約7年、加茂市は「加茂市行財政健全化推進計画」や「加茂市総合計画」、「長期財政シミュレーション」、「加茂市立小中学校適正化方針」、「加茂駅周辺まちなかエリア未来ビジョン」、「加茂市都市計画マスタープラン」、「加茂市教育ビジョン」などに代表される、市の将来像を示す各種計画、方針、ビジョンを策定し、常に中長期的な視点で「あるべきまちの姿」を示しながら、加茂市の活性化や魅力あるまちづくりの実現に注力してきました。
そして、令和8年3月には、「加茂市公共施設再編アクションプラン」を策定します。これらはすべて「未来へのスクラップ・フォー・ビルド」の理念に基づいた、持続可能な未来を実現するための取組であり、加茂市の現状と現実に向き合いながら、市民が100年先もこのまちで暮らし続けるための基盤をつくる取組でした。
令和8年度は、公共施設再編アクションプランに基づく施設の再編に着手するだけではなく、子育て・健康づくり拠点複合施設の工事にも着手します。先日の予算案発表の際にイメージを公開した新しい給食センターについても、令和12年度の供用開始に向けて着々と事業が進んでいます。そして、名称が「加茂中学校」に決定した統合中学校となる現若宮中学校の校舎の改修計画もまとまり、実施設計に着手します。そのほか、下条コミュニティセンターの改修設計を実施するなど、公共施設の価値を「量」から「質」へと転換していきます。
また、子ども議会で提案していただいたような全天候型の遊び場や、小中学校の体育館のエアコンの設置も具体的な整備時期が見通せるところまで来ています。さらに、加茂市の魅力を発信できる道の駅のような施設の設置や加茂駅のバリアフリー化等についても、具体化に向けて引き続き検討していきます。
私は、令和7年度の施政方針において、大局的な視点を持ち、今何をするべきかを考え、行動してくださる市民が増えてきたこと、そしてこの兆しは、加茂市にとって希望の光であることをお伝えしました。
そして、令和7年4月から12月にかけて、合計で103回実施したアクションプラン(案)説明会では、延べ1262名の方からご参加いただきました。直接市民の皆さまとの対話を重ねることで改めてこのまちをより良いものにしていきたいと考える皆さまの想いを感じるとともに、こうした想いの積み重ねこそが私たちの愛するこのまちを未来につないでいくための何よりも大きな力になることを確信しました。
加茂市は、大きな転換点を乗り越え、笑顔咲く未来へと続く道のりを歩き始めました。私が就任した直後にはコロナ禍も経験しました。それでも「連携」と「協働」のまちづくりを掲げ、それを市民の皆さまとともに体現できたからこそ、私たちはどんな苦難も乗り越えてくることができたと思うのです。そして、それはこれからも続いていく、続いていけるはずだと私は思っています。
令和8年度予算案は、令和6年度から掲げている「持続可能な行財政運営を目指す」「基本的な生活環境を守る」「質の高い子育て・教育環境を整備する」という三つの目標を踏まえつつ、「みせる」ことを意識した「大きく攻める」予算です。
先に述べたとおり、子育て・健康づくり拠点複合施設の建設や統合中学校の整備、給食センターの新設など、加茂市における新しい時代の到来を象徴するような取組が大きく進んでいます。それ以外にも、加茂市には他のまちでは実施していない取組や、まねできないようなところがたくさんあると思います。私たちの住むまちがこれまでも、これからも素晴らしい魅力や価値を持っているということを、市民の皆さまにはもちろん、市外の、県外の、あるいは世界中の方々に伝えていかなくてはなりません。「みせる」には「見えるようにする」だけではなく、「人を惹きつける」という意味も込めて、令和8年度は施策を展開していきたいと考えています。
2 当初予算案の概要
それでは、令和8年度当初予算案の概要についてご説明申し上げます。
令和8年度一般会計予算は、142億8300万円で、前年度と比較して14億6200万円、11.4%の増となりました。
なお、国の令和7年度補正予算により令和8年度に実施する事業を令和7年度補正で前倒しして予算措置した3億2409万円を合わせると、146億709万円となります。
主要な財政指標については、令和7年度決算見込みと比較して実質公債費比率は8.3%で0.8ポイントの減、将来負担比率は75.6%で19.5ポイントの増、市債残高は2億4000万円増加し、95億3000万円と見込んでいます。
財政調整基金の残高は、当初予算での財源不足3億7600万円を取り崩すため、11億5000万円となる見込みです。
令和6年度に新設した公共施設等整備基金の残高は、令和7年度末時点で7億9000万円となる見込みであり、令和8年度当初予算においては、今後の施設整備を見据えて、これを維持する予定です。
これらの指標を注視し、健全な財政運営を行ってまいります。
一般会計と4つの特別会計の当初予算合計額は、209億3085万円で、前年度と比較して15億593万円、7.8%の増となりました。
3 具体的施策
次に、令和8年度の主な施策について新規事業と拡充した事業を中心に申し上げます。
基本目標1 子育て・教育
未来を担う子どもたちが夢と希望にあふれ育つまち
子育て・健康づくり拠点複合施設整備事業では、令和7年度に新しい施設の設計・建設・維持管理業務や余剰地活用事業等を一体的に行う企業グループを選定し、建設場所については加茂文化会館前の広場に決定しました。令和8年3月には、複合施設の概略を示す基本設計を策定します。
令和8年度は施工に必要な設計図面等を作成する実施設計業務を行い、設計完了後、建設工事に着手します。建設工事は令和9年度末までの期間を予定しており、令和10年4月のオープンに向けて整備を進めていきます。
母子保健分野では、妊娠期から継続した相談支援を実施しています。しかし、生後6か月から9か月までの期間は、母親にとって育児不安等が出現しやすい時期にもかかわらず相談支援がありませんでした。そのため、令和8年度から新たに「すくすく育児学級」を実施することで、切れ目のない相談支援体制を強化していきます。
地域における子どもの健やかな成長及び保護者の子育て支援を推進するため、令和8年度から発達・子育て相談会を開催します。専門的な相談体制を整備し、早期発見・早期支援につなげるとともに、保育園・学校・医療・福祉など、地域の関係機関との連携を深め、地域全体で子育てを支える体制の充実を図ります。
子どものインフルエンザ感染予防策として、予防接種費用を生後6か月以上から13歳未満までを対象に、1回の接種につき1,500円を助成してきましたが、令和8年度から新たに1回で接種が済む経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの接種費用に3,000円を助成します。
公立保育園については、西加茂保育園を令和8年3月31日に閉園します。
令和7年度に加茂市公立保育園統廃合検討委員会で検討した結果を踏まえ、今後は公立保育園を1園に統合する方針です。令和8年度から園舎の新設も含め、統合についての検討を開始します。
令和8年度から、生後6か月から満3歳未満の未就園児を対象に、全国で乳児等通園支援事業、いわゆる「こども誰でも通園制度」が開始されるため、加茂西宮保育園において、月10時間を上限とした実施体制を整備します。現在実施している一時預かり事業と併せて利用することで、保護者の負担軽減と孤立防止を図り、身近な保育園として子育て家庭を支援します。
不妊治療費助成事業を引き続き行い、経済的、精神的負担の軽減を図ります。保険適用の有無にかかわらず、医療費助成の限度額を、夫婦1組につき年間50万円から夫婦それぞれ70万円に拡充して助成します。
加茂市の学校教育は、新たな時代を迎えています。
令和7年3月に「加茂市教育ビジョン」を策定し、これを「加茂市教育大綱」として位置づけました。このビジョンで掲げる“加茂市で育てる子ども像”は「未来の創り手として 自ら学び続け 心豊かに たくましく生きる ふるさと加茂を愛する子」です。今後も「加茂市教育ビジョン」を指針として、学校教育をはじめとする様々な施策を展開していきます。
学校再編については、令和10年度の中学校統合、令和12年度の小学校統合に向け、着々と前進しています。
なかでも中学校の統合は、市内5つの中学校を1校に統合するものであり、全国的にも例を見ない取組です。
統合中学校の名称が「加茂中学校」に決定したことを受け、小中学校統合準備室を中心に、令和8年度は新たな校歌、校章を制作し、児童生徒の意向を反映した新しい制服・体操着の選定などを進めていきます。さらに、統合後を見据えた教育課程を編成し、統合前の早い段階から各中学校に導入することで、統合後の教育活動が円滑にスタートできるよう取り組んでいきます。あわせて、生徒会活動や部活動のあり方、PTAの組織や活動のあり方、スクールバス運行ルートの編成など引き続き検討を進めていきます。
これら一連の取組を通じて、行政、学校、地域が一体となり、子どもたちが誇りを持って学ぶことができる新しい学校づくりを目指します。
ICT教育の推進については、新たな時代の学びに対応した教育環境を整備するため、令和8年度の開始にあわせて、これまで使用してきた児童生徒用タブレットの更新を全ての学校で完了します。
さらに、校務支援システムやクラウド環境を継続的かつ発展的に活用することにより、教職員の業務効率化を図り、子ども一人ひとりに寄り添う時間の確保につなげていきます。
土日・休日における学校部活動については、その活動の場を、教育委員会が主催する地域クラブ「かもんクラブ」へ移行しました。今後は「かもんクラブ」を安定的に運営するため、令和8年度から参加費を半期3,000円から5,000円へ改定し、持続可能な仕組みづくりを進めます。
また、現在は教員の兼職・兼業による指導者が全体の半数を占めていることから、地域における新たな人材の発掘・育成を更に推進していきます。加えて、大会参加の機会を広げ、活動の一層の充実を図るため、送迎バスなどの支援についても継続します。
放課後児童クラブについては、令和7年度から民間委託及び有料化を導入し、長期休業日における開館時間の拡充や、欠席連絡・入退室管理のデジタル化などにより、サービスの質及び利便性の向上を図ってきました。
また、放課後等デイサービスを併用する利用者に対する利用料の減免を新たに導入しました。
その結果、利用満足度アンケートでは、81.2%の方から「満足している」との回答をいただいているところです。
今後も、アンケート結果を踏まえた改善を重ねることで、より多くの利用者から満足していただける放課後児童クラブの運営に取り組んでいきます。
小中学校の学校給食費については、昨今の物価高騰などに伴い、これまで加茂市独自の保護者負担の軽減対策を実施してきました。
令和8年度はこれに加え、「給食の質を向上させるための補助」を新たに導入します。
中学校においては、保護者負担を月額7,600円に据え置いたまま、デザートの充実などにより、給食の質の向上を図ります。
また、小学校においても、給食の質の向上を図ったうえで、国及び県の給食費負担軽減補助金を活用し、なお、生じる保護者負担分について市が補助することにより、給食費の無償化を実施します。
これらの取組を通じて、子育て家庭の経済的負担を軽減するとともに、子どもたちの健やかな成長を支える学校給食の充実を図ります。
統合中学校の校舎として現在の若宮中学校の校舎を活用するにあたり、教室の改装、全トイレの洋式化、ネットワーク環境の充実、外壁補修、防災機能を向上させるための各種設備の更新、スクールバスのロータリー整備や駐車場の増設など、生徒が安全・安心な教育環境のもとで快適に学校生活を送り、充実した学びを受けることができるよう、校舎全体の整備計画を令和8年3月に策定します。
令和8年度はこの整備計画に基づき、工事を実施するために必要な詳細設計を行い、令和9年度から改修工事を実施する予定です。
なお、統合後の学校生活への工事の影響を最小限に抑えるため、前倒しできるものは可能な限り前倒して実施していきます。
また、統合後に活用する加茂南小学校と石川小学校については、校舎等の整備計画を策定します。
市内の小中学校11校の学校給食は、現在6か所の学校給食調理場から提供されていますが、令和7年7月に策定した「(仮称)加茂市給食センター整備事業基本構想」に基づき、千刈地内の旧県営住宅跡地に集約することで(仮称)加茂市給食センターとして整備します。
新しい給食センターでは、幅広いアレルギーに対応した給食を提供するなど、子どもたちに安全・安心で質の高い給食を提供するとともに、食育の一層の充実を図り、学校給食事業の持続的かつ効率的な運営を目指します。
現在、基本計画の策定を進めているところですが、令和8年度からはこの基本計画に沿って事業を進め、令和9年度末までには工事に必要な設計業務を完了させ、令和10年度から令和11年度にかけて建設工事を行います。
建物が完成した後には、円滑な施設の運営による安定した給食の提供を行うため、新たな給食センターの建物や設備を使用した研修、トレーニングやリハーサルなどの開設準備期間を経て、令和12年度の供用開始を予定しています。
基本目標2 健康・福祉
ともに支えあい、だれもが安心して健やかに暮らせるまち
がん患者支援として行ってきた「がん患者医療用補整具購入費補助金」では、上限額をこれまでの2万円から5万円に増やすとともに医療用ウィッグや乳がん治療後の補整具などを種類ごとに申請できるようにすることで、治療と社会参加の両立を支援します。
病院、診療所の維持や拡充、そして新たな開設につなげるための「診療所設置奨励事業補助金」については、新規診療所の施設や設備の整備に対する支援を最大5000万円に拡充します。内訳としては、従来の診療所の新規開業または承継に対しての1000万円の奨励金に加えて、新規開業する医科診療所の施設や設備に対して各2000万円を上限に補助金を拡充します。
障がいのある人が地域で安心して暮らし続けるには、制度だけではなく、地域で支え合う関係づくりが重要です。市では「障がいのある人もない人も支えあいともに生きる加茂づくり条例」の理念の基、誰もが互いを尊重し安心して暮らせる地域づくりを進めています。
この理念を具体化するため、自立支援協議会を中心に、当事者・家族・事業者・関係機関と意見交換を行い、地域課題の把握と改善に取り組んでいます。
その取組の一つとして、通所サービスの利用環境を一層充実させるため、送迎を実施する事業所を対象に、新たに「障害者事業所送迎サービス給付事業」を創設します。この事業により、送迎加算給付を通じて事業所の運営を支援するとともに、送迎サービスの提供を促進し、利用者の負担軽減につなげていきます。
そのほかにも、関係機関や民間事業者と連携し、レスパイト機能の確保に向けた取組を進めるとともに、緊急時の受入れや「親なき後」問題に対応する「地域生活支援拠点」の整備と連動し、必要な時に必要な支援が受けられる体制づくりに努めます。
また、誰もが利用しやすい公共施設や生活環境の整備を進めるために、ユニバーサルデザインの考え方に基づくまちづくりの方針案の策定を目指します。施設整備に加え、障がいや障がいのある人への理解を深め、支え合う「心のバリアフリー」を広げるため、条例の趣旨の周知・啓発にも積極的に取り組みます。
加茂市の令和8年2月1日現在での高齢化率は40.4%です。高齢化率は年々高くなっており、超高齢化の進行に伴い、認知症の高齢者の増加が見込まれます。「認知症とともに生きる笑顔あふれるまち加茂基本条例」に基づき、認知症に関する知識の普及啓発を継続していくとともに相談体制の充実を図り、認知症の人と家族を支援します。また、認知症施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「加茂市認知症施策推進計画」の策定に着手します。
基本目標3 生活・環境、生活基盤
安全・安心で環境にやさしいまち
アクションプラン(案)説明会では、災害時の避難に対する不安の声が多く寄せられました。
公共施設の再編に伴う今後の避難所のあり方については、地域の皆さまと丁寧に協議を重ね、共に検討していきます。
また、自主避難が困難な災害時避難行動要支援者に対し、個別避難計画の作成を進めます。計画づくりを通じて不安の解消にも取り組み、誰もが安心して避難できる体制を整えていきます。
市内の既存建築物の耐震性能を確保するため、耐震診断や耐震改修を促進し、今後予想される地震被害に対して市民の生命財産を守ることを目的として、「耐震改修促進計画」を策定します。この計画に基づき、災害に強いまちづくりを推進し、耐震化促進の取組を行っていきます。
大規模災害が全国各地で頻発している中で、停電や断水等によって水洗トイレが使用できない事態に備えて、被災時の衛生環境の確保や被災者の健康維持を図るため、災害用トイレトラックの導入に着手します。
冬期の安全な住環境の確保を図るため、令和6年度に創設した住居の屋根等への雪下ろし用命綱固定アンカー設置に対する補助金制度の周知・利用促進に努め、住宅の雪下ろし時の転落事故を未然に防ぎます。
加茂市消防団では、近年の団員数の減少に伴い、今後を見据えた組織のあり方について「加茂市消防団再編等に関する計画」検討委員会で議論を重ね、令和7年3月に「加茂市消防団再編(案)」を策定しました。
令和8年2月28日から令和8年3月22日まで市内7か所で「加茂市消防団再編(案)」について説明会を開催し、市民の皆さまへの周知を経て、令和9年4月より新しい組織体制への移行を目指します。
消防団車両については、緊急防災・減災事業債を活用し、小型動力ポンプ付積載車3台を更新します。
消防本部庁舎の大規模改修については、令和6年度から2年間かけて外壁・屋根修繕及び水害時の浸水対策として非常用電源を屋上に設置したほか、広域災害時の受援用駐車場を庁舎裏手に整備しました。
また、耐震補強工事と感染症対策等の増改築工事は令和8年4月に完成予定となっています。
消防本部車両についても、緊急防災・減災事業債を活用し、老朽化が進んだ高規格救急車1台を更新します。
加茂市・田上町消防衛生保育組合では、加茂市、田上町の将来的な可燃ごみの処理委託について、三条市と検討を重ねた結果、令和8年度については、加茂市の一部地域を選定し、11月以降を目途に3か月程度の間を処理委託開始に向けた実証実験期間と位置づけ、ごみステーションに出されたごみを回収し、三条市清掃センターへ搬入します。
今後は、令和9年度から対象地域を拡大し、令和11年度以降ごみ全量を三条市に処理委託する方針に基づき、実証実験の検証を踏まえて、より具体的な協議を行っていきます。
ごみの分別、出し方については、三条市の基準にあわせていくための広報、周知を図っていきます。具体例を挙げると、ごみ袋の最大容量は45Lとなること、せん定枝などの長いごみについては、40cm以内にすることとなります。
現在の清掃センターは当面の間は修繕し、稼働し続けなければならないことから、焼却炉への負荷を低減させるためにも、更なる減量化のため、引き続き、古着やプラスチックなど、リユースやリサイクルに活用できる品目の回収方法について検討していきます。
近年、リチウムイオン電池による発火事故が全国的に問題となっています。こうした事故を防ぐため、令和8年度から加茂市環境課窓口及び清掃センターで、リチウムイオン電池の回収を開始します。対象となるのは、モバイルバッテリーなどの小型のリチウムイオン電池で、膨張しているものや液漏れしているものも回収します。
移住・定住施策については、専門的な知見や実績を有する民間事業者の力を活用し、より効果的かつ実効性の高い取組とするため、令和8年度から業務を民間委託します。これにより、これまでの移住定住の取組で培われた知見を継承し、ターゲット設定に基づく戦略的な情報発信や、SNS等を活用した移住相談の充実、更に内容を充実させた移住体験ツアーを実施し、質と量の両面において、移住希望者への支援の向上を図ります。
空き家対策に関する取組として令和7年3月に「加茂市空家等対策計画」を策定しました。この計画に基づき空き家の発生防止や抑制の取組を進めるため、空き家管理システムを導入します。空き家等の情報管理をGIS上で行うことで加茂市の空き家の現状を分析し、空き家の発生防止や抑制のみならず利活用の促進を図ります。
「加茂市街地地区第三期都市再生整備計画」に基づき、産業センター裏に災害時の避難場所としての機能を備え、イベントの開催や周囲の公共施設と一体的な利用ができる幸町公園の整備を行います。
道路整備については、安全・安心な道路交通を確保するため、福島線や菅端諏訪ノ木線、寿町縦線1号の道路改良工事を行います。丸山線は事業に必要な用地測量と用地購入を行い、令和9年度からの工事着手を目指します。
また、舗装の傷みが激しく修繕の緊急性の高い新道線、番田駅前線、大郷線の舗装打替え工事を行います。
橋梁の長寿命化については、「橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、95橋の定期点検を行い、老朽化対策として猿毛橋の橋梁修繕工事を行います。また、笹渕線No.1ほか18橋の小規模橋梁の修繕工事を行います。加茂市の橋梁については、健全度判定4段階の中で、修繕の必要な健全度Ⅲ・Ⅳの区分に271橋のうち78橋、割合にして29%が該当し、全国平均の7%、県平均の13%を大きく超えていることから、将来に向けて計画的な修繕が必要です。
大型カルバートの長寿命化については、「大型カルバート個別施設計画」に基づき、学校町都ケ丘線の詳細設計業務委託を行います。
消雪施設は、老朽化が著しい秋房線3号、赤谷線3号の消雪用井戸を更新し、また穀町小橋線、秋房線2号の消雪パイプの布設替えを行います。
老朽化したかもんバスの更新に伴い、令和7年度はバリアフリー対応車両を導入しました。令和8年度も引き続きかもんバスを1台更新します。
水道事業では、浄水場で作られた水を無駄にすることなく配水できるよう管路の漏水調査を継続し、漏水箇所の修繕と、栄町・第2区・第23区・下興屋向・岩野地内で漏水の恐れのある老朽管の布設替えを行います。
また、老朽化した浄水場施設・設備の更新を併せて行います。
下水道事業では、長期的な視点で下水道施設及び管路の維持管理や改築を計画的・効率的に行うための「加茂市下水道ストックマネジメント計画(第2期)」に基づき、老朽化した浄化センター施設・設備や管路等の更新を行います。
また、浄化センターでし尿の受入れを目指して、加茂市公共下水道に係る計画設計により全体計画を策定します。
基本目標4 芸術・文化、スポーツ、自治・人権
学び、集い、ふれあって、自分らしく活動できるまち
図書館では、現在の休館日のうち火曜日と祝日を7月から開館します。そして、施設維持を目的に、屋根改修工事と一部不点箇所の非常灯のLED化工事を行います。
民俗資料館では2026年が昭和元年から数えて満100年を迎えたことから「加茂の昭和展」と、加茂市に図書館を作った加茂の偉人、坪谷善四郎氏について図書館と連携して開催する「坪谷善四郎展」の二つの企画展示を開催します。
各種事業を通じて、地域の歴史や文化を紹介することで、市民がふるさと加茂に誇りと愛着を持てる機運を醸成します。
市民の文化・芸術活動の振興に利用されている文化会館の長寿命化を図るため、老朽化した屋根の防水改修工事を行います。
旧生田屋の土地売却を推進するにあたり、建物の解体・撤去を行います。
体育施設の長寿命化を図るため、勤労者体育センターの高圧電気設備改修工事、温水プールの軒天改修工事、体操トレーニングセンターの空調設備更新工事を行います。
地域活動の場として利用されている下条コミュニティセンターは老朽化が進んでいます。これからも地域コミュニティや福祉活動が行える施設として活用するため、令和10年4月のリニューアルを目指して、令和8年度は設計業務を委託します。
地域コミュニティの再構築・活性化を目指すため、地域おこし協力隊を採用し、地域住民と行政、民間団体等と連携して様々な施策に取り組みます。令和8年度は七谷地域で活動し、そのほかの地域については、令和9年度以降に活動する予定です。
国際交流については、令和10年度にニュージーランド・ファンガレイ市と友好都市の締結を目指すことを目的に、令和8年8月をめどにテ・カモ地区にあるKamo Intermediate School(カモ・インターミディエイトスクール)や関係先を訪問します。そこで、現地の教育環境やホームステイの安全体制などを確認し、視察の成果を反映した実行力のある派遣計画を策定します。
基本目標5 都市の魅力創造、産業・雇用
人が集い、賑わいと活力があふれ、稼ぐ力と雇用を生み出すまち
加茂市に住む、関わる全ての方々が主役となって、主体的に活躍できるまちを目指します。
加茂七谷温泉 美人の湯では、昨今の灯油価格や光熱水費等の物価高の影響に鑑み、指定管理料の見直しを行います。また、これから先も施設を維持・運営していくために、POSシステムの関連機器、ボイラー、高圧受電設備のコンデンサの更新や、空調機器のデジタル化対応のための更新工事を行います。
人口減少・高齢化の急速な進行に起因する様々な課題に対し、市街地をコンパクト化して都市の持続性を確保するため、「加茂市都市計画マスタープラン」に基づいた「立地適正化計画」の策定を令和7年度から引き続き実施します。令和8年度末までに成案化し、令和9年4月中の公表を目指します。
加茂市都市計画マスタープランで定める方針に即した土地利用を推進し、現在の用途地域及び地区計画の指定状況と現況及び将来的な土地利用との整合性を図ることを目的に、都市計画区域内の一部において用途地域及び地区計画の見直しを行います。
加茂市観光協会は、令和8年4月から一般社団法人加茂市観光協会となり、活動の幅を広げていきます。その活動を支援するため、新たに地域おこし協力隊を1名受け入れます。今後も、市の商工観光課と両輪で、観光施策実現のため歩みを進めていってくれることに期待しています。
「観光協会事業補助金」は、これまで定額で補助していましたが、令和8年4月に交付要綱の改正を行います。改正後は、イベント企画・運営や観光宣伝事業などを補助対象経費とし、その2分の1を補助します。これまで補助金として交付していた事業の一部は、委託事業として業務内容を明確にします。また、令和8年4月からは、加茂市観光協会が加茂土産物センター・インフォメーションセンターに事務所を構え、観光案内所の運営を行う予定です。これにより、土日祝日の観光客対応が可能となり、まちなかでの人の流れを作る体制を整備します。
県外から高校生を受け入れ、加茂市の豊かな自然、伝統・文化、そして地域の方々のぬくもりに触れてもらうとともに、地元学生との交流を通じて加茂市への愛着と将来に渡るつながりを育むことを目的に「地域みらい留学事業」に参画し、令和9年度からの受入れ開始を目指し、令和8年度は募集等の準備を進めます。
伝統産業である木工業の担い手育成を支援するため、市内の事業所に地域おこし協力隊2名を受け入れます。
令和8年度も引き続き起業・創業の促進を図るため、産業競争力強化法に基づく「創業支援等事業計画」の特定創業支援等事業である「創業塾」を加茂商工会議所と連携し実施します。令和7年度は約20名が受講、うち3名が創業チャレンジ支援事業費補助金を活用し、市内での創業につなげることができました。
受講者を創業支援対象者として、加茂市や加茂商工会議所のほか、地域金融機関や日本政策金融公庫など連携団体とともにバックアップする体制を強化し、引き続き市内での創業者数の増加を図ります。
中心市街地とその周辺を含むまちなかエリアの賑わいづくりに向けては、産学官金が連携して活動する加茂駅周辺まちなかエリアプラットフォームが主体となって、まちなかエリアはもちろんのこと、加茂市全体の魅力や価値の向上に、引き続き取り組んでいきます。令和8年度は、今後の賑わいづくりのカギとなる民間事業者の発掘及び活躍を促進するため、講演会やトークイベントを通じて、リノベーションまちづくりに対する理解や機運を高めていきます。
まちなかエリアの活性化に向けて、まちのポテンシャルを可視化することで民間プレイヤーのチャレンジを後押しするため、空き店舗の活用に向けた実証実験に取り組みます。空き店舗の情報を商圏情報などとともにウェブ上にマッピングし、短期のトライアル出店につなげてその効果を検証します。これにより、現在実施している「空き店舗対策事業」による補助金や、これから取り組むリノベーションまちづくりとの相乗効果が期待できます。
人口減少に伴い農家人口がこれまでの10年間で38%減少する中、認定農業者及び認定新規就農者で組織する加茂市認定農業者協議会が行う地域イベントの開催や研修会等の経費を支援し、農業の担い手の確保・育成を図ります。
また、新規就農後の農業者に対して経営発展や経営継承に必要な機械・施設の導入等の経費を支援します。
主食用米の価格高騰により生産量が減少している加工用米等の生産を後押しし、需要に応じた生産の推進を図ります。
遊休農地の再生利用を加速するため、新規作物を導入する農業者に対し、必要経費の補助を行ってきましたが、これまで限定していた対象作物を水稲を除く販売目的のすべての作物へ拡充します。あわせて、これまでの対象経費に農地再生費を新たに追加し、補助上限額についても5万円から10万円へと引き上げます。
新たに、化学肥料・化学合成農薬の低減を図る農業者に対して、土づくりの実践等による環境負荷軽減に必要な機械の導入経費を支援します。
国の中山間地域等直接支払交付金を利用し、生産条件不利地域での農業継続活動支援対象を1組織から2組織にすることで、農業生産を継続するための活動を拡大支援します。
良好な農村環境の形成を図る地域共同活動の支援対象を7組織から8組織にすることで、農業者と地域住民が共同で実施する、農業・農村の持つ多面的機能の保全活動を拡大支援します。
「加茂市鳥獣被害防止対策協議会」が国の交付金を活用し、サル用GPS首輪や赤外線カメラ及び拡声器付きドローンなどのICT機器や捕獲罠、電気柵を導入して行う被害防止活動等を支援していきます。
また、国の交付金における電気柵設置の要件を満たさない圃場に対し、加茂市独自の事業「加茂市鳥獣被害防止対策事業費補助金」を引き続き実施します。
新たに「不要果樹伐採事業費補助金」を創設し、有害鳥獣の出没原因となる柿、栗などの不要な果樹の伐採を行う個人又は行政区に対し、伐採委託費用を上限5万円として2分の1補助します。
昨年のツキノワグマの全国的な大量出没や市街地付近への出没を鑑みて、令和8年度に、AIを活用しクマ出没をカメラで自動検出するリアルタイム通報システムを試験的に導入します。このシステムの試験導入後、効果検証を重ね、令和9年度の本格導入を目指し、人身被害の防止を図ります。
「林道施設長寿命化計画」に基づき、林道麻布谷黒水線の下高柳地内、加茂川に架かる住岡橋の修繕工事を行い、林道施設の長寿命化を図ります。
基本目標6 行政活動
社会の変化に対応し、市民に寄り添い、未来への責任を担うまち
令和5年度から公共施設再編アクションプランの策定に着手し、定量的かつ客観的なデータの分析を進め、各施設の新設、統合、廃止、転用、譲渡や売却などの実施方針と実施時期の検討を行い、令和7年3月末にアクションプラン(案)を作成しました。
アクションプラン(案)説明会等を通じて、市民の皆さまと積み重ねた対話の結果を踏まえて、令和8年3月末に公共施設再編アクションプランを策定します。
令和8年度からは、公共施設再編アクションプランに基づく施設の再編に着手します。総合計画で定めた基本方針に則り、持続可能な未来に向けて健全な行財政運営を行っていきます。
令和8年度から令和12年度までを期間とした「加茂市総合計画」の後期基本計画に基づき、「笑顔あふれるまち 加茂」の実現に向けたまちづくりを進めます。
令和7年度に民間のデジタル専門人材を新たに活用し、地域社会DXを推進するための方針である「デジタル技術利活用方針」を策定しました。
この利活用方針では「スマートで温かいまち」を目指す姿として掲げ、市民一人ひとりが安心して暮らせるまち、そして誰もが使いやすい行政サービスを実現するために、様々な施策に取り組んでいきます。
令和8年度は生成AIの利用促進を重点的に進めます。職員が高性能な生成AIを活用することで、日ごろの業務の効率化だけではなく業務そのものの見直しや、地域の課題解決に資する新たな手法を効率的に実装することなど、多岐にわたる効果が期待できます。また、効果を確実なものにするため、専門家の監修による生成AI利活用の研修を一般職員向けと管理職向けに分けて実施します。
方針に沿った施策を実効的に推進していくため、従前から関与いただいているDX・ICT推進マネージャーに加え、DX推進アドバイザーを追加で配置し、組織体制を整備します。
各課が保有している地図情報をデジタルで共有し業務効率を向上させるため、統合型GISを導入します。例えば空き家・空き地の位置情報や関係情報を地図データに掲載し共有することで、それまで都度行っていた部署間での問い合わせを削減できるなど、様々な部署での業務の効率化が期待できます。
山地等の未作成地域の地番図を新たに整備しデジタル化することで、相続などで所有者が変わった際にも土地の位置を視覚的に確認しやすくし、分かりやすさの向上と窓口対応の迅速化を図ります。
国の令和7年度物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して、物価高騰の影響を受けている市民を支援するため、市民一人あたりに対して1万円の加茂市物価高騰くらし応援給付金を支給します。また、賃上げに向けた「稼ぐ力」の強化を支援するため、生産性向上や新商品の開発など、収益力の向上につながる設備投資等を支援する「収益力向上支援事業費補助金」や夏の暑さや冬の寒さに対応し、省エネルギー化による経費削減等を目的として、工場や倉庫などに施工する遮熱・断熱に係る工事費を支援する「工場等遮熱断熱促進事業費補助金」により加茂市内の中小企業者を支援します。
4 結び
以上、令和8年度の市政運営の基本方針並びに主要事業について、ご説明いたしました。
ここで、令和8年度の予算編成において、近年とは異なっている点を2点述べます。
1点目は、市民サービスに直結するもので廃止、縮小した事業がないことです。
2点目は、これまでふるさと納税寄附額を6億円と見積もって予算編成していたところを10億円と見積もっていることです。
1点目については、これまでの徹底した見直しにより、現行体制において必要な事業がほぼ精査された状態になっているといえます。言い換えれば、今後は事業の見直しによる財源の捻出が難しくなってくることも意味しています。
2点目については、近年のふるさと納税寄附額が10億円前後であるため、実態に即した予算編成としています。それにもかかわらず歳入が不足する状況では、近年のような基金への積立てができなくなることが考えられます。さらに、ふるさと納税は制度改正等の外部要因に左右されやすく、これを財源として依存し続けることは、持続可能かつ自立した財政基盤の構築を困難にさせます。
この2点からも、今後は持続可能な行財政運営をより一層意識しなければならないということがわかります。私たちは「未来へのスクラップ・フォー・ビルド」の理念を失ったわけではないということを改めてご理解いただきたいと存じます。
令和7年度に実施した「公共施設再編アクションプラン(案)」に関する説明会では、市民の皆さまとの対話を通じて大変多くの学びを得ることができました。寄せられたご意見の中で特に多かったのは、「避難所に関すること」と、「将来への希望・期待に関すること」でした。人口減少に対する大きな危機感から、本当に多くの方がこのまちの将来のこと、このまちで暮らし続けていくために必要なことを真剣に考えてくださっている証だと実感しました。
私たちは、皆さまのこの想いに応えていきます。
持続可能な行財政運営を行うことと市民の皆さまの想いに応えていくこと、これらを相反するものにするのではなく、両立できるよう力を尽くします。簡単な道のりではありません。しかし、市民の皆さまが、安全で、安心して暮らしていける、将来に希望を持って暮らしていける、納得感と充足感を持って暮らしていける、そんな明るい未来へ続く道を示していきます。
結びに、市民の皆さま並びに加茂市議会議員の皆さまにおかれましては、引き続き「笑顔あふれるまち 加茂」の実現のため、加茂市政にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、令和8年度の施政方針といたします。